非支配株主が存在する債務超過子会社を吸収合併する場合の会計処理

親会社が子会社を吸収合併する場合の会計処理として、下記の規定があります。

企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針
206. 親会社の個別財務諸表上の会計処理は次のように行う(第438項参照)。[設例20]
(1)  資産及び負債の会計処理
 親会社が子会社から受け入れる資産及び負債は、企業結合会計基準第41項により、合併期日の前日に付された適正な帳簿価額により計上する。[設例35]
(2)  増加すべき株主資本の会計処理
①  株主資本の取扱い
 親会社は、子会社から受け入れた資産と負債との差額のうち株主資本の額を合併期日直前の持分比率に基づき、親会社持分相当額と非支配株主持分相当額に按分し、それぞれ次のように処理する。
ア  親会社持分相当額の会計処理
 親会社が合併直前に保有していた子会社株式(抱合せ株式)の適正な帳簿価額との差額を、特別損益に計上する。
イ  非支配株主持分相当額の会計処理
 非支配株主持分相当額と、取得の対価(非支配株主に交付した親会社株式の時価)(第37項から第47項参照)との差額をその他資本剰余金とする。合併により増加する親会社の株主資本の額は、払込資本とし、第79項から第82項に準じて会計処理する。
②  株主資本以外の項目の取扱い
 親会社は子会社の合併期日の前日の評価・換算差額等(親会社が作成する連結財務諸表において投資と資本の消去の対象とされたものを除く。)及び新株予約権の適正な帳簿価額を引き継ぐ。したがって、例えば、子会社のその他有価証券評価差額金や土地再評価差額金の適正な帳簿価額のうち、支配獲得後に当該子会社が計上したものをそのまま引き継ぐことになる。
(後略)
(太字―引用者)

ここで、非支配株主が存在する債務超過の子会社を合併する場合、下記規定より連結上は子会社の債務超過額を親会社の持分が負担していたことが想定されます。

連結財務諸表に関する会計基準
27. 子会社の欠損のうち、当該子会社に係る非支配株主持分に割り当てられる額が当該非支配株主の負担すべき額を超える場合には、当該超過額は、親会社の持分に負担させる。この場合において、その後当該子会社に利益が計上されたときは、親会社が負担した欠損が回収されるまで、その利益の金額を親会社の持分に加算する。

連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針
69.株式会社の株主は株主有限責任の原則により出資額を限度とする責任を負えばよいこととなっているが、親会社は子会社の債権者に対して、保証債務等の契約に基づく責任を負う場合が多いだけでなく、親会社の経営責任や信用保持のための経営判断等から当該子会社の債務の肩代わりなどを行う可能性も高い。このような場合、通常、非支配株主の負担すべき額は非支配株主の出資額に限定される。しかしながら、特定の非支配株主と親会社又は他の株主や債権者との間で子会社の債務の引受けなど、出資を超えた非支配株主による負担が合意されている場合がある。このような場合には、当該負担額まで非支配株主持分に欠損の負担を行わせ、それを超える欠損額はその後子会社に利益が計上され、超過欠損額が相殺されるまで親会社が負担するものとしている。
(太字―引用者)

このような場合であっても、親会社持分相当額と親会社が合併直前に保有していた子会社株式(抱合せ株式)の適正な帳簿価額との差額を、抱合せ株式消滅差損益として特別損益に計上すればよいのでしょうか。

言い換えると、親会社の持分に負担させた子会社の債務超過額は抱合せ株式消滅差損益として特別損益に計上しなくてよいのでしょうか

この点、下記書籍の「第14章 4 (2) 設例14-2 非支配株主が存在する場合の債務超過子会社の吸収合併」が参考になるものと思われます。

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